「マッチを擦って、消えるまで見つめること」という指示の作品 “ LIGHTING PIECE ” はヨーコの前衛芸術家としての活動の最初期である1955年に構想された。ヨーコの幾多のインストラクション(指示)テキストによるコンセプチュアルアートはその実体をもたない。本書は “ LIGHTING PIECE ” の視覚的記録としての図版である。彼女の原点ともいえるこの ”光” というテーマは、以後さまざまな形に変遷し、50年以上を経た2007年 “ Imagine Peace Tower” という形で最終到達点に達した。アイスランドの首都レイキャビクに建設されたこの塔には、地球の最北端から「平和の光」を発信し世界を包み込むという意図が込められている。光源となる「ウィッシング・ウェル(願いの井戸)」には、24の言語で「イマジン・ピース」のメッセージが刻まれている。塔としての構築物はなく、点灯時のみ台座から天に向かい白い「光の塔」が浮び上がる。点灯されるのは毎年、ジョンの誕生日である10月9日からジョンの命日である12月8日までの期間と 、大晦日、イースター(復活祭)のみである。彼女にとって ”光” は平和と復活への祈りそのものなのだろう。
1995 / Published in Firenze
古書